死生観とスピリチュアル・ペイン

死生観は、生きている人が既に亡くなってしまった人に対して持つものだけでなく、今生きている自分が死んだらどうなるかということを考えることでもあります。
死生観というと哲学的な日常生活には不必要な思想と考える人もいるようですが、実は私達の生活のほんの身近なところに利用をされていることなのです。
最も研究が進んでいるとされているのは、大学での学者での分野というよりも、実際に死ぬという現象に直面している、癌などの治療が不可能な末期患者への医療分野であるといいます。
末期患者への治療は延命治療だけでなく、いかに苦痛なく最期のときを迎えることができるようにするかという緩和ケアも含まれます。
緩和ケアにおいては、肉体的な苦痛を軽減する方法の他、心理面からの苦痛を減らすための「スピリチュアル・ペイン」という霊的な治療も同時に行われます。

スピリチュアル・ペインとは、死生観を患者さんに考えてもらうことで、死に対する不安や恐れを軽くし周囲の人との付き合いをよくしていくための方法です。
スピリチュアル・ペインとして末期的な病状にある自分の苦痛を項目別に考えてゆき、そこから対応するためのスピリチュアル・ケアをとっていきます。
スピリチュアル・ペインとして挙げられる項目は大きく6つあり、①生きながらえるつらさ②自分らしさとの葛藤③死への思い④生きたい思い⑤自分の人生の振り返り⑥家族・大切な人と別れるつらさ、となっています。
簡単に説明をしていけば、末期患者となるとかなり身体への負担や苦痛がつらいものとなります。
そこで、痛みを感じながら生きることのつらさや、病んで姿が変わっていく自分のつらさ、死ぬということへの恐ろしさ、生きたいのに生きられないという切なさ、それまでの人生における心残りや後悔、大切な人と永遠に別れるという苦しさとそれぞれ深く自分に問いかけて考えていくのです。

スピリチュアル・ペインの目的は、自分がなぜどうしてどのようにつらいのかを深く内省していくことで、その答えを見つけるという深い霊的な領域に精神を高めていくということです。
何が怖いのかを自分でしっかり見つめることができたとき、初めてその苦しみに前向きな気持ちを持つことができるというのがスピリチュアル・ペインやスピリチュアル・ケアの考え方です。
末期的な病状であるかどうかにかかわらず、この6項目は今を生きている私達が考えておきたいことでもあるように思えます。
死生観とは生きるための思想とも言えるでしょう。

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