先祖供養の成り立ち

宗教を語る上で、人の生死は抜かすことのできない題材です。
それぞれの宗教で異なりはしますが、どの宗教であったとしても死生観は必ずと明示されています。

インド仏教の死生観

インド仏教では死生観については、輪廻転生というサイクルによって表現されており、宗教の目的も明確になっているのが特徴的です。
この世を四苦八苦の世界であるという前提で喩えたのがインド仏教で、この苦しみは輪廻転生によって永遠に繰り返されると表現されています。
そして、教徒となり悟りを開いた者はこの永遠の苦しみの連鎖から逸脱して助かることが可能であると説いています。
苦しみのサイクルから脱することを仏教用語で解脱と表現されており、この解脱がインド仏教の最終的な目的でもあるわけなのです。

このように死生観はそれぞれの宗教によって明確にされており、ほとんどの宗教で先祖と霊魂という概念が表現されております。
しかし、インド仏教だけは特殊で、創始者であるシャカは霊魂については認めておりません。
そのため、日本仏教や他宗教によくある先祖崇拝の概念はインド仏教の中には無く、これがインド仏教と日本仏教の大きな違いであると言えるでしょう。

日本仏教の死生観

日本仏教は勿論インド仏教の影響を受けて育った宗教ですが、その他にも様々な宗教から影響を受けております。
中でも特に影響を受けたのは中国発祥の儒教です。
儒教では先祖霊を崇拝するという考え方がもともと明示されており、そこにインド仏教が加わることで妙な融合を果たしました。

やがて中国から仏教が伝えられることになるのですが、ここで登場する仏教とは、両宗教がブレンドされた後の仏教であり、日本に伝えられたのもこれにあたります。
したがって、日本に仏教が伝えられた当初から先祖の霊を崇拝するという考え方が定着していったのです。

また、日本古来より先祖の霊を崇拝するシャーマニズムは既に定着していたため、このことが日本に仏教が広がった1つの要因であると言えるでしょう。

そこから時が流れるにつれて日本仏教内でも様々な宗派が登場することになりましたが、そのほとんどが輪廻転生を提唱しているのではなく、信仰していれば死後に楽な世界、つまり天国に行けるというものになり、この考え方が現代にまで継承され続けているのです。
現在でも先祖を崇拝するという日本仏教の行為は続けられており、これから先もこの文化は長く息づくことになるでしょう。

先祖崇拝の概念は、考え方自体は非常に単純明快なものであり、誰でも理解と実践が可能です。
その手軽さゆえに広まった考え方であるとも言えますが、合理性をつきつめている現代社会においては、単なる文化に過ぎないため、それほど重視する人も少ないように思えます。

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